- 獣の奏者 外伝 刹那 (講談社文庫)/講談社

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2013年10月発行
エリンとイアルの同棲時代、師エサルの若き日の苦い恋、息子ジェシのあどけない一瞬……。
本編では明かされなかった空白の11年間にはこんな時が流れていた!
文庫版には、エリンの母、ソヨンの素顔が垣間見える書き下ろし短編「綿毛」を収録。
大きな物語を支えてきた登場人物たちの、それぞれの生と性。
(内容紹介より引用)
これは大人の為の短編集、かな。
本編の最後に著者自身によるあとがきだけでなく、
「人生の半ばを過ぎた人へ」という文章があります。
そこそこの時間を生きてきたから思い描けた、というようなことでしょうか。
上橋さんの言葉に、この物語は完全なる球体、というのがありました。
外伝を読んで納得できます。
闘蛇と王獣というモチーフにまつわる物語だけでなく、
人々の生きてきた軌跡でもあるのですから
この外伝に書かれたことはあって当たり前のことなんですね。
でも、あえて外した。
完全なる球体にとっては余分な一滴に感じられたそうです。
「普通の人」として生きた時間は知らなくてもいい、という読者もいて
この外伝については賛否両論あるようです。
私は、読んでよかったです。
エリン、イアル、エサルたちの体温が感じられました。
<目次>
「綿毛」
エリンの母、壮絶な最期をとげたソヨンの短い母としてのひとこま。
ほんの10数ページの小編なのに、母としての幸せに溢れている素敵なエピソードです。
「刹那」
エリンとイアルの時間。
初めての出産を迎えたエリンの側でイアルが回想する・・・。
「秘め事」
エリンの恩師であるエサルの生い立ちから今に至るまで。
一番長い物語。
「初めての」
エリンが命がけで産んだ息子ジェシと過ごす時間。
最初にソヨンとエリン、最後にエリンとジェシ・・・良いです。
「獣の奏者」は本編、外伝ともに素晴らしい物語でした。





