あかね空 (文春文庫)
山本 一力
文藝春秋
2004-09

¥691
5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (58件のカスタマーレビュー)
希望を胸に身一つで上方から江戸へ下った豆腐職人の永吉。
己の技量一筋に生きる永吉を支えるおふみ。
やがて夫婦となった二人は、
京と江戸との味覚の違いに悩みながらもやっと表通りに店を構える。
彼らを引き継いだ三人の子らの有為転変を、親子二代にわたって描いた
第126回直木賞受賞の傑作人情時代小説。

(内容紹介より引用)




苦しかった・・・
中盤以降、あまりに苦しくて
何度本を閉じてしまおうと思ったことか。

誰か一人の主役がいるわけではなく、
京から来た男・永吉と江戸っ子の娘・おふみが出会い、
永吉が京風のお豆腐(今でいう絹ごし豆腐)を売る店を始め
おふみと夫婦になり、子を授かり、
二人が人生を終え、子供たちに代替わりするまでの物語です。

実の親子でありながら
心を通わせられない母と子供たち。
出産が命がけだった江戸時代に
3人もの元気な子供を授かりながら
長子・栄太郎にしか愛情を示さない母・おふみ。

何故、栄太郎だけを溺愛するのか。
おふみなりの理由があるのだが、
それは本人にしか理解できない、というか
他の人にしたら単なるこじつけのようなもの。

店のお金を使い込み、博打にのめり込み借金を作る栄太郎。
それでも「栄太郎は悪くない」と擁護する母。

この物語を読後感良かったといえる読者が羨ましい。

例え、ラストに未来が見えたとしても、
悟郎とおきみにとっては、
慕っても慕っても、邪険にされ暴言すら吐かれ、
決して優しさも温もりも与えることのなかった母だ。
理由を明かされ、哀れだとは思っても
全てを水に流し心底許せることができるのだろうか?
そして、嘘を重ね何度も家族を裏切った栄太郎を
この先信じていくことができるのだろうか?

家族それぞれの立場で違う想いが噛み合わない。

はぁぁ~ 胸が苦しい。

損料屋シリーズに出てくる深川の料亭・江戸屋と
その女将・秀弥がここにも登場していました。
同じ作家さんならでは、ですね。