ねこの夢

読んだ本の備忘録として。。。

2016年04月


イオナはこれまでの人生を全て整理して、
生地アメリカから自らのルーツを求めアイルランド西部へ向かった。
目指すは彼女の一族が昔から暮らす大きな森が間近に控える地。
到着するや彼女は親戚が営む自家製化粧品の店〈ダーク・ウィッチ〉を訪ねる。
出迎えた親戚二人は彼女を歓待したうえに就職先まで面倒をみてくれた。
乗馬クラブで仕事を始めたイオナは
そこでオーナーのボイルの姿を目にして激しく心をときめかせる……。
緑豊かな大自然を舞台に繰り広げられる恋と魔術の三部作が幕を開ける。

(内容紹介より引用)




楽しいファンタジーでした。

扶桑社ロマンスというレーベルから出ていますが
アイルランドの古の魔女の家系のお話で、
ロマンス色は薄く魔法絡みのファンタジーという印象です。

内容紹介文の
「恋と魔術」という表現がぴったりです。

恋愛話だけでなく、
最初のダーク・ウィッチ、ソーカが闘った
邪悪な妖術師・キャヴァンが数百年の時を超えて襲いかかる!

今回のヒロイン、イオナがアメリカから移住してきたことで
何かが始まった・・・?

ソーカの末裔であるオドワイヤー家の魔力を持つ3人の物語を
それぞれ1冊にして三部作になってるので残り2作も読むつもりです。

キャヴァンとの闘いはまだ続きます~。

アイルランドの自然や観光名所になっている場所の描写も
行ったことのない私の脳内に景色が広がって楽しかったです。

夏への扉[新訳版]
ロバート・A・ハインライン
早川書房
2009-08-07

ぼくが飼っている猫のピートは、
冬になると“夏への扉”を探しはじめる。
家にたくさんあるドアのどれかが夏に通じていると信じているからだ。
そしてぼくもまた、ピートと同じように“夏への扉”を探していた。
最愛の恋人と親友に裏切られ、仕事を失い、
生命から二番目に大切な発明さえも奪われてしまったぼくの心が、
真冬の空のように凍てついてしまったからだ。
失意の日々を送っているぼくにも、
ピートが信じる“夏への扉”は見つかるのだろうか。

未来は、ぜったいに過去よりよいものになる――
それぞれの”夏への扉”を探して現代を生きる人々へ、
新しい翻訳で贈るハインラインの希望に満ちあふれたメッセージ。
新しい時代の『夏への扉』がここに登場。

(内容紹介より引用)




新しい翻訳は、『アルジャーノンに花束を』の小尾芙佐さん。
初版はなんと1956年!

物語のスタートは1970年、
そして2000年へ。

未来へ行くのはコールド・スリープ。
人体を凍結保存して未来に目覚める・・・
これって今でも実現されてないのに!
そして著者ハインラインの描く2000年は
2016年の今でも近未来SF映画の中のようです。
そして、タイムトラベルして過去へ。
更に、また・・・。

SFなのに優しさとノスタルジーを感じる物語で、
あまりSF好きじゃない私がお気に入りになりました。
逆に、
SF大好きでたくさんの作品を読んでる人にとっては
どうなんでしょうね?

大嫌いな冬になると、次々と扉を開けて
大好きな夏を探す♂の虎猫・ピート。
私もピートと夏への扉を探してみようかという気分になる^^
夏への扉って未来への希望なんだと思います。

うちのキジトラ猫・くたの名前をピートにしたくなってしまった!(笑)
山下達郎も歌にしてますねー。

おもしろかったです。

桜ほうさら(上) (PHP文芸文庫)
宮部 みゆき
PHP研究所
2015-12-17

桜ほうさら(下) (PHP文芸文庫)
宮部 みゆき
PHP研究所
2015-12-17


父の汚名をすすごうと上総国から江戸へ出てきた古橋笙之介は、
深川の富勘長屋に住むことに。
母に疎まれるほど頼りなく、世間知らずの若侍に対し、
写本の仕事を世話する貸本屋の治兵衛や、
おせっかいだが優しい長屋の人々は、何かと手を差し伸べてくれる。
家族と心が通い合わないもどかしさを感じるなか、
笙之介は「桜の精」のような少女・和香と出逢い…。
しみじみとした人情が心に沁みる、宮部時代小説の真骨頂。

江戸で父の死の真相を探り続ける古橋笙之介は、
三河屋での奇妙な拐かし事件に巻き込まれる。
「桜の精」のような少女・和香の協力もあり、事件を解決するのだが…。
ついに父を陥れた偽文書作りの犯人にたどり着いた笙之介。
絡み合った糸をほぐして明らかになったのは、
上総国搗根藩に渦巻く巨大な陰謀だった。
「真実」を突き付けられた笙之介が選んだ道とは…。
切なくも温かい、宮部みゆき時代ミステリーの新境地!

(内容紹介より引用)




文庫になったので、古本待ちするつもりでしたが
我慢できずに結局、普通に購入しました(^^ゞ
宮部さんの時代ものはやっぱり良いです。
表紙のイラストもシンプルで可愛いです。

本筋が1本ある長編ですが
大きく4つの章に分かれています。
<目次>
第一話 富勘長屋
第二話 三八野愛郷録
第三話 拐かし(かどわかし)
第四話 桜ほうさら

この章ごとに本筋の事件とは別の騒動があって
長編を飽きることなくサクサク読めます。

濡れ衣をきせられ、進退窮まった父が切腹・・・
その姿を「無様だ」と言い捨てる兄・勝之介。
ただ呆然とすることしか出来なかった弟・笙之介。
そして、夫をかえりみることのなかった母・里絵。

主人公は弟の笙之介。

武道を重んじる上総国搗根藩において
剣術に秀でたところのない父は、
というより古橋家は代々見過ごされてきた。

しかし、兄・勝之介は違った・・・!
剣術に優れ、出世欲も人一倍あった。

物語が進むにつれ、
やはり父は父親で妻子を思っていたし、
逆に、どんなに心を寄せても
言葉を尽くしても
気持ちの通じない相手はいるものだとわかる。
これは家族だからこそ。
何の関係もない他人なら
あの人はそういう人なんだ、で終わらせることができる。

心の通わない家族ほど、
哀しく辛いものはないかもしれない。

1つの藩の行方を揺るがす謀(はかりごと)もあるけど、
父を亡くし家族が壊れ、
江戸へ出てきた笙之介が信頼していた人たちからも
嘘をつかれていたことがわかった時に
相手を責めつつも自分を情けなく思ってしまう心情が辛過ぎる。

ラストが大団円にはならないけれど、
笙之介が生きる道が残っていたことに希望を。。。

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