南北アイルランドの統一を謳う武装勢力NCFの副議長が、
スライゴーの宿屋で何者かに殺された!
宿泊客は8人――そこには正体不明の殺し屋が紛れ込んでいた。
やはり犯人は殺し屋なのか? それとも……。
宿泊客の一人、日本人科学者・フジの推理が、
「隠されていた殺意」をあぶり出してゆく!
本格推理界に衝撃を走らせた期待の超新星の処女長編!
(BOOKSデータベースより引用)
ミステリーという言葉より推理小説の方がしっくりきそうです。
同じ作家さんで「月の扉」を先に読んで、
もう1冊読んでみたくなって選んだのがこれでした。
私はこっちの方がずっと好きになりました。
「かつてこんなに美しいミステリーがあっただろうか」
これは私が最初に読んだ「月の扉」の帯に書かれていたキャッチです。
2冊目の「アイルランドの薔薇」を読んでしまったら
こっちのキャッチでもいいんじゃない?って気がしてきました。
実際には、これがデビュー作で「月の扉」が長編2作目だそうです。
アイルランドがタイトルについていますが
内戦については導入部だけといってもいいくらいなので
政治的な要素が苦手でも大丈夫だと思います。
もちろん事件の背景には関係しているのですが
読み進めるのに特に支障はありません。
舞台は1997年、アイルランドのスライゴーという町の宿です。
北アイルランドとの国境近くです。
犯人は誰?「ブッシュミルズ」って?
真の動機はどこに?
最後の最後まできっちり引っ張っていかれます。
(日本人・フジの出来過ぎ感が気になったらちょっとスルーして・・・^^;)
全体がきっちりまとまって完成された推理小説だと思います。
読後感も清々しくてお気に入りの1冊です。
戦争とはやはり、憎しみしか生まれない虚しいもの。。。



