ねこの夢

読んだ本の備忘録として。。。

2012年02月



南北アイルランドの統一を謳う武装勢力NCFの副議長が、
スライゴーの宿屋で何者かに殺された!
宿泊客は8人――そこには正体不明の殺し屋が紛れ込んでいた。
やはり犯人は殺し屋なのか? それとも……。
宿泊客の一人、日本人科学者・フジの推理が、
「隠されていた殺意」をあぶり出してゆく!
本格推理界に衝撃を走らせた期待の超新星の処女長編!

(BOOKSデータベースより引用)




ミステリーという言葉より推理小説の方がしっくりきそうです。
同じ作家さんで「月の扉」を先に読んで、
もう1冊読んでみたくなって選んだのがこれでした。
私はこっちの方がずっと好きになりました。

「かつてこんなに美しいミステリーがあっただろうか」
これは私が最初に読んだ「月の扉」の帯に書かれていたキャッチです。
2冊目の「アイルランドの薔薇」を読んでしまったら
こっちのキャッチでもいいんじゃない?って気がしてきました。
実際には、これがデビュー作で「月の扉」が長編2作目だそうです。

アイルランドがタイトルについていますが
内戦については導入部だけといってもいいくらいなので
政治的な要素が苦手でも大丈夫だと思います。

もちろん事件の背景には関係しているのですが
読み進めるのに特に支障はありません。

舞台は1997年、アイルランドのスライゴーという町の宿です。
北アイルランドとの国境近くです。

犯人は誰?「ブッシュミルズ」って?
真の動機はどこに?

最後の最後まできっちり引っ張っていかれます。
(日本人・フジの出来過ぎ感が気になったらちょっとスルーして・・・^^;)
全体がきっちりまとまって完成された推理小説だと思います。

読後感も清々しくてお気に入りの1冊です。
戦争とはやはり、憎しみしか生まれない虚しいもの。。。

初めて読んだ作家さんです。


有名な「ビターシュガー」も読んでみようかと思いました。













「やがて目覚めない朝が来る」  ポプラ文庫 2011年10月発行




大島真寿美 (Ooshima Masumi)






両親の離婚後、母とともに


元舞台女優の祖母、蕗さんの洋館で暮らすことになった私。


その蕗さんのもとには、いつもユニークで魅力的な人々が集まっていた――


血の繋がりを超えたたしかな絆と、


脈々と連なっていく人生の輝きを軽やかにうつくしく描く、やわらかな感動作。








(BOOKSデータベースより引用)



















後半、じわじわと心に沁みてきて最後の方は


ぽろぽろと涙をこぼしながら読んでいました。


通勤電車の中で読むのは要注意です(;^ω^A




今の年齢になってから読んで良かったと思いました。


世間的にはもう決して若くない、どころか老後のことを真剣に考えるべき今に、


両親も年老いてきた今に、ふさわしいような気がします。




主人公の有加の子供時代から始まります。


有加と母親が一緒に暮らした蕗さんというのは祖母といってもお姑さん、


別れた夫の母親です。すでに不思議ですよね^^




「色んな人の集まる蕗さんの家で、まだ子供だった有加は


 皆ががやがやとおしゃべりしているリビングでうたた寝するのが好きで


 耳だけは起きていて大人たちの会話をしっかり聞いている。」


これって私の子供の頃と似てるかも~!?


私も母方の祖父母の家で大人たちがおしゃべりしてる側で


お昼寝してるはずが話はしっかり聞いてました。


有加みたいに意識的に記憶しようとは思ってなかったけど(^^ゞ




とても深いテーマなんだけど軽やかな文体で書かれていて


どんより重くなってはいません。




この本を読んだ後なら、誰にでも訪れる「目覚めない朝」は


例外なく自分にも「やがて来る」、


「それは明日かも、明後日かもしれない」ということを


受け入れることができるかもしれません。








やがて目覚めない朝が来る (ポプラ文庫 お 4-2)/大島 真寿美



¥609

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好きな作家さんなので結構なボリュームでしたが、すんなり読み切れました。




古本屋さん、又はネット販売じゃないと手に入らないと思います。











「ゴッホ殺人事件」 上・下巻  講談社文庫  2005年4月刊




高橋克彦 (Takahashi Katsuhiko)








ゴッホは自殺か、他殺か




貸金庫に母が遺した謎のリストは何を意味するのか。


パリ在住の美術品修復家・加納由梨子は


「ヴィンセント」の文字を手がかりに調査するうち、


存在すら知られていない膨大なゴッホ作品のリストだと知る。


さらにゴッホの死因についての衝撃的な新説にも辿り着く。


だが同時に、由梨子の身に危険が忍び寄る。




盗聴器を自宅に仕掛けられた元恋人・由梨子の身を案じ、


塔馬双太郎はパリへ飛んだ。


ゴッホ作品リストの周辺で次々と人が死んでいくなか、


日本人画商からオルセーにゴッホの真贋鑑定の依頼が入る。


塔馬は東京に戻り、数々の謎の真相に迫る。


壮大な国際謀略サスペンスかつ、美術史を揺るがす傑作ミステリー。










(BOOKSデータベースより引用)

















浮世絵三部作に続いて「塔馬双太郎」が登場します。


私としては特別魅力的な人物と感じてないので他の誰かでも、ってところ(^^ゞ


思わせぶりで独断的なところがあまり好きになれないんですよね。


で、僕っていい人だからみたいなw


でも何度も登場させるってことは一般的には人気のキャラクターなんでしょう。




図らずも「オレンジの壺」と背景が似ていました。


第二次世界大戦のヨーロッパ情勢が起因となっています。


そしてゴッホへの深い造詣・・・


ゴッホを知るための入門書としてもいいと感想を書いてる人がいるくらいです。




絵画の修復という仕事についても色々知ることができます。




ヨーロッパと美術について興味がある人にはとても面白いと思いますが


反面、マニアック過ぎてうんざりする人もいるかもしれません。




流さずにしっかり読むとゴッホの人生を知る面白さと


事件の謎解き、ドキドキ感を楽しみながらラストまでいけると思います。


ゴッホの死の謎についての答えが明解に書かれているというよりは


自分で読み解くというか・・・うーん・・・わかるはずなんですが、


他のところで「わからない」と感想書いてる人がいて・・・


うーんと、うーんと、


答えを書いてしまったら読む楽しみが無くなるから書けませんo(_ _*)o




巧妙に人を騙して多くの命を奪ってまで得たいものが


巨額のお金だったということが陳腐なのか当たり前なのか。




いつかゴッホの作品をゆっくり鑑賞したいです。








ゴッホ殺人事件〈上〉 (講談社文庫)/高橋 克彦



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